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さんにんのそうせいじ
三人の双生児
海野 十三
「新青年」1934(昭和9)年9、10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,806 字 · 87 页
それよりも、もっと訊き正したいことがあった。
「それよか、妾の身体に、何か変ったところか、瘢痕のようなものは見付からなくて」
「気の毒だけれど、君を悦ばせるような異状は何一つ発見できなかったよ。――」
それを聴いて妾はホッと溜息をついた。それならばいい。妾は心配したようなシャム姉妹的な存在でもないのだった。妾は一時に身が軽くなったような気がした。それで起きて何かお美味いものでも喰べようと思って、蒲団から身体を起しかけた。ところがそれを見た貞雄は、駭いてそれを留めた。
「あッ動いちゃいけない。――」
「アラどうして!」
「もう一時間ばかり、そのまま絶対安静にしているんだよ。いろいろな注射などをしたものだから、その反応が恐い。生命が惜しけりゃ、僕の云うことを聞いて、もう一時間ほど静かに横臥しているのだ」
そういって貞雄は、妾の肩にソッと毛布を掛けてくれた。――妾は羊のように温和しくなった。
貞雄が当地を出発したのは、その翌日のことだった。いずれ冬の休暇ごろには、用があるのでまた当地へ来るから、そのとき是非立寄ると云った。そして例の「三人の双生児」に関する問題も故郷の方をもっと探してみて、面白い発見があれば必ず知らせるということだった。