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さんにんのそうせいじ
三人の双生児
海野 十三
「新青年」1934(昭和9)年9、10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,806 字 · 87 页
――ところでいよいよ『三人の双生児』の謎だが、これは解いてみると案外くだらないものさ。こんなことを日記にかきつけたのは真一の父親だった。彼は船乗りだった。船乗りの語彙でもって『三人の双生児』といったことをまず念頭に置かなくちゃいけない。実は君の方は普通の健全な人間だったけれど、真一君の方はそうでなかった。彼は畸形児だったのだ。手も足も胴体も一人前だったが、気の毒なことに首が二つあった。つまり両頭の人間だったのだ。そういえば思い当るだろうが、真一君の肩にあるあのいやらしい瘢痕のところには、昔もう一つの首がついていたのだ。その首にはチャンと名前がついていた。西村真二というのだ。いくら子供が可愛くても、この両頭の畸形児を人に見せるわけにはゆかない。そこであの座敷牢があるのだ。君は女の児だと思っていたろうが、子供のときには男女の区別はハッキリしない。殊に終日寝かされて何の変った楽しみもない真一真二の幼童が、たまたま君の髪に結んだ赤いカンカンを見て、あたい達にもつけてよオとせがんでも無理のないことではないか。そして二つの首を見せて駭かすことのないように、母親がいろいろ気を配ったことも無理ならぬことだ。