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さんにんのそうせいじ
三人の双生児
海野 十三
「新青年」1934(昭和9)年9、10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,806 字 · 87 页
その後、真二は顔に悪性の腫物が出来たので遂に大学で未曾有の難手術をやり、とうとう切ってしまった。そうしないと真一までが死んでしまうおそれがあったからだ。真一君が流浪の旅にのぼるようになったことなどは説明するまでもあるまい。僕は君を大学へ連れていって、アルコール漬になっている真二君の首を見せたいと思うよ。――まあそんなわけだから、君たちが生れたときに、お父さんが『三人の双生児』と呼んだのも根拠のあることだ。身体から見れば双生児であり、首の方は三つあったんだからネ」
ああ、なんという恐ろしい話だろう。これほど怪奇を極めた話が、この世に二つとあろうか。妾は舌を噛み切って死にたいような衝動に駈られた。といって、舌を噛み切って死ねば、妾の腹にある胎児は、暗から暗へ葬られるのだと気がつくと、妾はハッと正気に返った。そしてそこで妾は吾が子のまだ知らぬ父親のことが急に知りたくなって、自らを制することができなくなった!
「妾の腹の子の父親のことを教えて下さいな。どうぞ後生ですから……」
と叫んだ。
「ではそれを教えてあげようが、これから大学まで歩いてゆく道々話すことにしよう」