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さんじゅうねんごのせかい
三十年後の世界
海野 十三
「少年読売」1948(昭和23)年3~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页
ですから、世界中どこへでも、高速地下鉄で行けるのです」
「ふーン。すると今は地下生活時代ですね」
「まあ、そうでしょうな。しかし空へも発展していますよ。そうそう、明日は、羽田空港から月世界探検隊が十台のロケット艇に乗って出発することになっています」
正吉は大きなため息をついてひとりごとをいった。
「三十年たって、こんなに世界や生活がかわるとは思わなかったなあ。こんなにかわると知ったら、三十年前にもっと元気を出して、勉強したものをねえ」
あとで分った話によると、例のモウリ博士は月世界探検に行ったまま、遭難して帰れなくなっているということだ。こんどの探検隊が、きっと博士を救い出すであろう。
宇宙探検隊
正吉は、その日以来、宇宙旅行がしてみたくてたまらなくなった。
三十年前、やがて月世界へ遊覧飛行ができるようになるよと予言する人があったら、その人はみんなから、ほら吹きだと思われたことであろう。それが今は、ほんとに出来るのだという。なんという進歩であろう。
正吉は、そのことを東京区長のカニザワ氏と、大学病院のサクラ女史とに相談してみた。すると二人は、そういうことはカンノ博士にたのむのが一番いいであろうと教えてくれた。