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さんじゅうねんごのせかい

三十年後の世界

海野 十三

「少年読売」1948(昭和23)年3~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页

青空文庫

「大丈夫のようです。別にかわったものを見かけませんから」

そういって艇長の方を向いたのは、観測団長のカンノ博士だった。

「うむ。まず、大丈夫らしいね。では着陸の用意をさせよう」

艇長はマイクを手にとりあげて、その用意方を全艇へつたえた。

「さあ、忙しくなったぞ」

と、カンノ博士は正吉にしばらくの別れを告げて、操縦室から去った。

着陸の用意は、二十四時間かかった。

いまはカコ技師も、はればれとした顔つきになって、喫煙室へ来て、煙草をうまそうに吸いながら、だれかれと話しあっている。

「こんどは装甲車を五台出動させることができる。だから上陸班は十分に活動ができると思う」

「装甲車というと、どんなものですか」

「一種の自動車さ。そしてガソリンではなく原子力エンジンで動く。それから外側が厚さ十センチの鋼板で全部包んである」

「じゃあ、戦車ですね」

「戦車は砲をつんでいる。これは砲はつんでいないから、戦車ではない。やはり、装甲車だ」

「なぜこんな乗物を使うんですか。敵がいるわけでもないのでしょう。なぜそんな厚い装甲がいるんですか」

「それはね、第一に隕石をふせぐために、これくらいの厚い装甲が必要なんだ」