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さんじゅうねんごのせかい
三十年後の世界
海野 十三
「少年読売」1948(昭和23)年3~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页
ここにはまたもっと大きい噴火口が集っている。
「さっきのと、ちがう別の偵察ロケットのテレビジョンに切りかえられたんだ。今うつっているのは月の南東部だ。まん中へんに見える細長い噴火口がシッカルトだ。直径が二百五十キロもある。壁の一番高いところは二千七百メートル。大きいだろう」
「すごいですね」
白く光る月面を見ていると、なんだか身体がこまかくふるえてくるようだ。
「そのずっと左の方に有名なティヒヨ山が見える。高さは五千七百メートル。四方八方へ輝条というものが走っているのが見える」
「ぼくたちは、どこへ着陸するのですか」
「予定では、『雲の海』のあたりだ。そうだ、雲の海は、いま画面のまん中あたりの下の方にある。つまりティヒヨ山から北東の方向へ行ったところにある」
「すごいですね」
「こわくなりゃしない? こわければ上陸しないで、本艇に残っていていいんだよ」
「いいえ、ぼくはだんぜん上陸します。でないと月世界まで来た意味がありませんもの」
ついに着陸
偵察ロケットはだんだん高度を低くし、月面に近づいていった。そしてていねいにいく度もいく度も同じ地域の上空をとんだ。