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さんじゅうねんごのせかい
三十年後の世界
海野 十三
「少年読売」1948(昭和23)年3~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页
これに使っている弾丸は、銃口から射ち出されると同時に、その弾丸の中で摂氏五百度の熱を発生するようになっていた。しかもこの弾丸は、この熱の発生と共に弾丸の外側がぐにゃりとしたゴムのように軟化し、あたった物にぺったりと付着するのであった。そうして、叩き落とそうとしても離れないのだ。
しかし二時間たてば、熱も消え、ぽろりと落ちる。――これは熱弾というが、別に「お灸の弾丸」ともいわれるものであった。相手の生命をとるというほど危険なものでなく、二時間ばかり相手を熱さになやませるだけだ。つまりこの弾丸の命中したものは二時間お灸をすえられているようなもので、従って、力なんか出せない。この熱弾の中には、二種の薬品がはいっていて、発射されると同時にこの二つが作用して、あの高熱を発するようになっているのだ。
そのような熱弾をくらった異人たちは、びっくり仰天。
「あっ、あつい、あつい」
「わあ、あつい。助けてくれ」
とでもいうかのように、目を白黒、からだをゆがめて大地をころがり、どことも知れず、闇の中にみんな姿を消してしまった。
月人の説
マルモ隊長をはじめ、救われた人々は、大よろこびであった。