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さんじゅうねんごのせかい

三十年後の世界

海野 十三

「少年読売」1948(昭和23)年3~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页

青空文庫

そしてからだもずっと大きく見えた」

「すると何国人のギャングかな」

「いや、あれは、われわれの世界の人間ではないと思う」

そういったのは、マルモ隊長だった。

「地球をくいつめた強盗団ではないとおっしゃるのですか」

「うん。早くいえば、月人だと思う。つまり月世界に住んでいる人間なんだ」

「それは、おかしいですね。月は死の世界で、冷えきっています。そして空気もなければ水もない。それなのに、月の世界に住んでいる人間があるんですか」

これは正吉の質問だった。

すると、マルモ隊長は、にっこりとうなずいて、

「もっともだ。そういう疑問を持つのは。だがね、この死の世界と見える月にも、あんがい生物が住んでいられるかもしれない。実は今までわしは、月世界には生物なしという考えでいたので、今日まで問題にしていなかったが、今日ばかりは恐れいったよ、カンノ君」

マルモ隊長はカンノ博士を見で、微笑した。

「カンノ博士が、どうしたんですか」

正吉が、たずねる。

「月世界に生物が住んでいられるかもしれないというのは、実にカンノ君のたてた説なんだよ。君、話してやりたまえ」

「はあ。それでは、かんたんに申しますが、元来月は、地球の一部がとび出して、この月となったのです。