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さんじゅうねんごのとうきょう
三十年後の東京
海野 十三
「少年読売」1947(昭和22)年10~12月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 13,731 字 · 28 页
また方々に浄化塔があって、中でもって空気をきれいにしています。ごらんなさい、むこうに美しい広告塔が見えましょう。あれなんか、空気浄化器の一つなんですよ」
「ああ、あれがそうなのですか。広告塔と空気浄化器と二役をやっているのですか」
十メートルくらいの高さの美しい広告塔だった。赤、青、紫、橙、黄などのあざやかな色でぬられ、そして、ぐるぐると回転している、目をうばうほどの美しい塔だった。
「それから湿度は四十パーセント程度に保たれています。ですから、これまでの地下のようなじめじめした感じや、むしあつくて苦しいなどということもありません。また温度はいつも摂氏二十度になっていますから、暑からず寒からずです。年がら年中そうなんですから、服も地下生活をしているかぎり、年がら年中同じ服でいいわけです」
「それはいいですね。衣料費がかからなくていいですね。昔は夏服、合服、冬服なんどと、いく組も持っていなければならなかったですからね。ちょうど布ぎれのないときでしたからぼくのお母さんは、それを揃えるのにずいぶん苦労しましたよ。――ああ、そういえば、ぼくのお母さんは……」
と、正吉は声をくもらせて、はなをすすった。