轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さぶろうじい
三郎爺
宮本 百合子
「東京日日新聞」1918(大正7)1月5日~17日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,866 字 · 50 页
に掛ったりして、化かす暇もなく皮を剥がれ、煮て食われるようになって来る。
他国者が集るので、噂の範囲は広まって、「江戸」での事件などは、わずかずつでも流れ込んで来る。独り三郎のみでなく、村全体の空気が一道の生気を吹き込まれてパッと燃え上ったような、状態になって来たのである。
すると、彼が二十三のときに、彼の村から七人の新百姓が出ることになった。
開墾団体から田地をいくらかと、金や材木を供給されて、新しく出来た村へ新しい百姓として家を持たせられるのが、その新百姓なのである。
若い者は、皆相当に競争もしたのだが、運よく三郎も、その中の一人として「眼きき」された。そして、親達の誇りと、彼自身の自信との間に、実家から、十四五丁ほど隔った開墾地の一郭に、彼はお手のものの普請を始めたのである。
今も昔も、存外些細なことで、人の名誉心が刺衝されることには変りがなかったものと見えて、数ある若者のうちから新百姓に選ばれたということが、彼の非常な箔(はく)つけになった。今までは、「屋大工の三郎どん」だったのが、何かよぶんな言葉が必要なような心持を、人も持ち、まして彼自身は持たずにはいられない。