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「したじき」のもんだい
「下じき」の問題
宮本 百合子
こんにちの文学への疑い
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,838 字 · 20 页
たくさんの字をよむが、そこに動きと色彩があるだけで、魂がない。その空虚さが堪えがたく、作家であり、同時に読者であるわたしたちに迫っている。わたしたちが、単に読者であるばかりでなく、同時に作家でもあるということは、現代文学のこのような空虚に対して、鋭い苦痛をよびさまされる。わたしたちが読者であるばかりでなく、作家でもあるということは、ただそのような現代文学を軽蔑してすむことではなく、そのような文学を発生させている日本の社会の状況そのものを改めて直視して、その追求の過程で、こんにちに実在しているより真実で強固な人間性とその文学の主張を生かしてゆかなければならないと考えるからである。
つい先日の新聞にのった文芸時評で、青野季吉が、文壇文学からの「脱出」が試みられている一つながりの作品として数篇の小説にふれていた。
現代文学の行きづまりが感じられてから、脱出は「雲の会」となり「ロマネスク」の愛好となって賑やかに示威されている。
正宗白鳥の「日本脱出」は、一部の批評家によると、日本のニヒリストが、現代ロマネスクのチャンピヨンとしてあらわれた驚異の一つであったようだ。