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ふざいじぬし
不在地主
小林 多喜二
一~十一、十六「中央公論」1929(昭和4)年11月号、十二~十五(「戦い」の表題で。)「戦記」1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,990 字 · 141 页
お互い貧乏な労働者から、毎日のように寄附が集ってくる、それも不思議でならない、と云うのだ。
「矢張り貧乏人だからよ。――地主と資本家とでは変っておれ、お互いに金のある奴から搾られていることでは同じからよ。」
「それアそうださ。んでも……こんなに……」――仲々分らない。
とにかく、俺さえ吃驚する程、労働者が戦ってくれている。めずらしいことだ。――やっぱり労働者と百姓は、底の底では同じ血が通っているんだ。
争議が長びくかも知れないから、と云うので、そっちから馬鈴薯五俵送ってきたのを見て、組合員が泣いたよ。米でなくて薯だって! 食うや食わずで仕事をしている労働組合員でも、薯を飯の代りにはしていない。――百姓ッてものが、どんなに低い生活をしているか、而もそれでいて、どんなに飢えなければならないか!
武藤などは、この「薯」のことだけでも、飽く迄戦い抜かなければならないと云っている。
情報、六
出樽以来二週間に達した。争議団のうちの小作人で、最初日和見のものも随分いたようであったが、日々の交渉、集合による訓練、労農党員の「社会問題講座」の開設等によって、(これは忙しい合間合間に行われたが、その効果では著しいものがあった。