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せかいのいっかんとしてのにほん

世界の一環としての日本

戸坂 潤

在线阅读戸坂 潤《世界の一環としての日本(せかいのいっかんとしてのにほん)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,338 字 · 422 页

青空文庫

日本では今日でも法律書生の伝統の残存物が強い影響を有っているので、法科の学生の数は圧倒的に多いから、いつの間にかこの種の講義様式が大学の「講義」の仕来りと見做されるようになった。それにこれ程聴講の精神に反した教授方法はないので、書いている間の聴講者は、自分が何を書いているのか、本当は少しも判らないものなのだ。私は考える。一切講義は聴きながら理解して、その理解した処を学生独自のその場の工夫でノートしなければいけないものだと。

で法科的な筆記式講義は大学の講義の代表者どころではなく、却ってその最もナンセンスな形であって、官僚の条文至上主義と同じ本質に帰するものだが、これならばラジオ放送で充分に用を足すことが出来る。現に大きな大学の講堂や講義室にはマイクがすえつけてある。之はやがてこの種の大学講義がラジオ放送に移行出来るものだということを証拠立てているだろう。

だが原稿(又は著書)の朗読とそれの機械的速記録作成とは論外として、とに角大学其の他の講義が一部分でもラジオ放送化し得るということは、文化史上極めて重大な意義を有っていることは云うまでもない。ラジオは前に云った直観的方法を欠いているにも拘らず、あまり直観的手段を不可避な条件とはしないような講義ならば、ラジオ放送で充分その目的を達することが出来よう。