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せかいのいっかんとしてのにほん
世界の一環としての日本
戸坂 潤
在线阅读戸坂 潤《世界の一環としての日本(せかいのいっかんとしてのにほん)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,338 字 · 422 页
そうな多少新しい変った事情に、云わば風俗上の不安を感じた。資本家はたといどのような武断的な革新が行なわれようと、自分の機構に自信を持てるが、困るのは気心も知れない奴が勝手なことをすることだというわけである。
この贅沢な趣味上の不安は、併し大衆には適用しない。大衆はこの事件の主人そのものからは少しもおびやかされはしなかったと云った。だが事実は、彼等は自分の側から怖えたのである。何を怖えたかと云うと、この事件がどういう風に拾収されるかという、この事件の結果に――対立した二つのあり得べき(事実当時の初めには事実二つとも可能だった)拾収策の何れに相談が決まるにしても――ついて怖えたわけだ。天気が好ければ地面は益々固くなる。そして雨が降れば降ったで「雨降って地固まる」だろう。之が大衆の不安・今日の社会不安・の形なのである。
大衆のこの不安は実に様々の内容を含んでいる。大衆の組織的活動に就いての不安(現にメーデーを見よ)・利害の自由な表現についての不安(之は流言飛語に関係がある)・職を擲って着役せねばならぬかも知れぬ不安・そして最も手近かなのは経済的消耗品となることの不安(大衆課税、物質騰貴、其の他)・つまりそうした結局は経済生活と肉体生活とに帰着するものに就いての不安の不断の増加が夫なのである。