轻松读懂日语经典作品
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せそう
世相
織田 作之助
「人間」1946(昭和21)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,089 字 · 64 页
「……ここだけの話ですが、恥を申せばかくいう私も闇屋の真似事をやろうと思ったんでがして、京都の堀川で金巾……宝籤の副賞に呉れるあの金巾でがすよ、あれを一ヤール十七円で売るちゅう話を聴きましてな、何しろ闇市じゃ四十五円でがすからな。帰って家内に相談しましてね、貯金ありったけ子供の分までおろしたり物を売ったりして、やっと八千両こしらえましてな、一人じゃ持てないちゅうんで、家族総出、もっとも年寄りと小さいのは留守番にして総勢五人弁当持ちで朝暗い内から起きて京都の堀川まで行ったんですが……、いや、目的の金巾はあることはあったんですが、先方の言うのには千万円単位でなくちゃ渡せんちゅう訳でがしてね、スゴスゴ戻って来ると、もう夜でがした……」
年の暮の一儲けをたくらんで簡単に狸算用になってしまったかと聴けば、さすがに気の毒だったが、しかし老訓導は急に早口の声を弾ませて、
「――しかし行ってみるもんでがすな、つまりその、金巾は駄目でがしたが、別口の耳寄りな話ががしてな、光が一箱十円であるちゅうんでがすよ。もっとも千箱単位でがすが、しかしどうでがす、十円なら廉うがアしょう。