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『せっかずせつ』のけんきゅう

中谷宇吉郎集 第二巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『雪華図説』の研究、『雪華図説』の研究後日譚、兎の耳、英国の物理学界と物理学者、温泉1、米粒の中の仏様、清々しさの研究の話、墨色、大謀網、長崎留学、鼠の湯治、民族的記憶の名残、室鰺、雪協議会の報告、真夏の日本海。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 83,098 字 · 172 页

青空文庫

この話は数年後には全くの笑い話となるかも知れないが、現代の政治のある逸話としては、時代色を示す一つの良い例であろう。こういう非常時になると、何事でも法令で決めてどしどし実行して行かないと間に合わぬのかも知れない。そしてそのこと自身が良いか悪いかは私たちの知らされていないことであり、また論議すべき事柄でもない。ただそういう場合に、ある事物の決定に科学的な根拠があると言う時には、よほど注意しないと、科学的の根拠と思い込んでいることが、案外非科学的根拠である場合が有り得るのである。

統計くらい確かなものはないと同時に、統計くらい嘘を言うものも少いとは、よく言われていることである。それと同じように、科学的研究の結果も、一つ間違うと、とんでもない非科学的な結論に導かれやすいような気もする。

「科学を尊重せよ」ということと、「科学を警戒せよ」ということとは、両方とも本当なのであろう。(昭和十三年十二月)

附記

この話を書いてから二年も経たないうちに、愈々白米禁止が断行されて、今では胚芽米か七分搗米が国民の常食となることになった。今度はしかし話がちがうので、国民糧食の節約が主な理由なのだそうであるから、この一文は何も現在の法令を論議していることにはならない。