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ここのつのかぎ
九つの鍵
野村 胡堂
「少年時代」1949(昭和24)年1月~4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,349 字 · 42 页
の方法で苦もなく下へ降りてしまったのだ」
照国の誠一の説明は、もはや疑う節もありません。
「わかった、ありがとうよ誠ちゃん、ぼくという人間も、すっかりあわてていてそれに気がつかなかったのだ」
狩屋三郎はうれしそうでした。いきなり照国の誠一の丸々と肥った掌をつかんでめちゃめちゃに振ります。
「ところで、もとのペーヴメントへおろされた愛ちゃんはどこへつれて行かれたのだろう?」
今度は誠一のほうが首をひねりました。
「それをこれから研究するのだ、――何より先ずこのビルティングを利用し得る人間――このビルディングのことをよく知っている人を調べるほかはあるまい」
「おや、階下で何んか騒いでいるようだが――」
照国の誠一はそう言いながら、胸壁に乗り出して両側の地上をながめました。
「幸子さんの声のようだが――」
「人足が十人ばかりで、あの姉弟のトタン囲いの家をブチこわしているよ」
「行ってみよう」
三郎と誠一は、階段を飛ぶように降りて、ビルディングの両側に寄生虫の殻のように作った、幸子馬吉姉弟の家へ駆けつけました。
「あ、狩屋さん、どうしましょう?」
気丈らしい幸子が、泣きながらおろおろしているのも無理はありません。