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らんぽぶんせき

乱歩分析

大下 宇陀児

「別冊宝石」1954(昭和29)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,427 字 · 17 页

青空文庫

探偵小説は、他の種類の小説と違って、常にその小説の最後の場面までの設計なしでは始められない。だから探偵作家は、その負担はいつでも覚悟していなければならないけれども、乱歩ほどの綿密な設計をするのだったら、疲れてしまうのもあたりまえだろう。彼の作品は、それだけの設計があればこそ、燦然として光を放つが、設計しないと、まったく筆が執れないという、よく言えば良心的、悪く言えば、融通のきかない、頑固でぶきっちょな性格を彼はもっているわけだ。

悪口も少し言っておこう。

ぶきっちょなことは、ほんとうだ。

彼は、設計に従って筆を進める。そして、作中人物の性格も、設計してあるから、書くことができる。

しかし、それだけにリアリズムからは遠ざかる。そもそも、実在の事物や人間を、ありのままに文章で書き現わすというようなことになると、どうやらあまり得意ではないらしいのである。

「随筆がどうも苦手でね。」

と、最近私に向っていったことがある。探偵小説についての随筆が、あんなに沢山あるじゃないか、という人があるかも知れない。が、あれは随筆とは申せない。与えられた一つの主題についての説明であり解説である。