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らんぽぶんせき
乱歩分析
大下 宇陀児
「別冊宝石」1954(昭和29)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,427 字 · 17 页
私はずいぶん長く彼とつきあってきている。でも、本気になって彼を語ったことは一度もない。この機会に、それをやらせてもらおうとも考えるわけだ。
私が乱歩について、オヤと眼を瞠る気持になったのは、あの戦争の最中、これもかなり形勢が逼迫してきた頃のことだった。
彼が三田から、今の住居の池袋三丁目、土地では駅を中心にしてそれら一帯を西口と呼ぶが、その西口の立教前へ移転してきたのは昭和九年の六月三十日、雨のパラつく薄曇りの日であったが、その同じ日に私の方は、大塚から、今の住所の雑司ヶ谷五丁目、池袋東口の鬼子母神近くへ移転してきた。
この同じ日の移転は、申合せをしたのでもなんでもなく、全く偶然の一致だった。位置は、国電の線路をはさんで、東西に対照的になっている。歩いて、十五分ほどの距離である。私はブルドッグやグレートデンを飼っていて、それが自慢だったから、立教の構内をぬけて彼を訪ねて見せに行き、彼もまたこちらへやってきて将棋をさした。あいにくなことに彼は生き物を飼うことに趣味をもたない。グレートデンを見ても、一向ほめてくれず、また私が白い鸚鵡を飼っていて、これも自慢して見せたけれども、鸚鵡のとまり木にとまっている姿を見て、ただ、「たいくつだろうな。