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らんぽぶんせき

乱歩分析

大下 宇陀児

「別冊宝石」1954(昭和29)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,427 字 · 17 页

青空文庫

副会長とはいいながら、小笠原氏のような政界の大物は、名前だけの町会長で、実質は乱歩が町会長だった。少なくとも、その町会の実務は、乱歩が全部引受けてしたことにちがいない。

そこで、ある時私が乱歩を訪ねると、彼は大判の洋罫紙に、数字をいっぱい書きこんだものを、灯火管制用の覆いのついた電灯の下で、私にひろげて見せた。

「町会費の負担についてゴタゴタがあるんだ。今までの仕来りで、負担額の大きい世帯もあれば小さすぎる世帯もある。こいつを公正に割当てるために、町会員の住宅の畳数を全部調べた。そして町会計費の全額を、その畳数に案分したわけだよ。こうすると、各世帯が自分の家の畳数に応じた負担をするのだから、甚だ公正妥当な割当てになるだろう。」

彼はさも満足そうに、この町会割当額一覧表を眺めつつ説明したが、世帯数はおそらく三百以上あったのではなかったのではなかろうか。彼はその計算から表の作製までを、自分一人でやったのであった。

私が、オヤ! とおどろき、ハテナ? と首をかしげたのは、その時である。

私の方の町会でも、各世帯から、町会費負担額につき、いろいろと不平不満が出たことは出た。