轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
「中央公論」1947(昭和22)年1、3~9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,492 字 · 389 页
「行けばどの位行くの?」
「さあ……」
素子は、しばらく躊躇していたが、
「どうしたって二年だろう?――その位いなくちゃものになるまい?」
そういいながら、素子はちょっと苦しそうな眼をし、うすく顔をあからめた。伸子は諒解した。素子は、こんどは、本当にひとりでも行く決心になっているのだ、と。そして、素子がひとりで外国へ行くようなことが実際におこれば、伸子とこうして暮して来た生活の形は、根本からちがったものになってゆくしかない。素子にはそれもわかっているのだ。伸子は、一層複雑なこころもちになった。伸子が、二人の生活ぶりに対して日頃心にわだかまらせている様々の疑いを、素子は察していて、こういう形で自分の方から全生活を変化させようと考えているのだろうか。伸子は、いよいよわたしはどうするの? といいにくい心持になった。それは素子がきめることではなくて、伸子自身がきめていいことだと、思われているのかもしれなかった。
「とにかく、わたしにかまわず仕度した方がいいわ」
伸子は、おとなしく、すこししょげていった。
「わたしの方には、お金のあてもないんだもの……」
「じゃ、この原稿を渡しちまったら、ともかく京都へ行って来る」