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ににろくじけんについて
二・二六事件に就て
河合 栄治郎
「帝国大学新聞」1936(昭和11)年3月9日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,745 字 · 6 页
五
日本国民はその言に耳を傾けないほど祖国に対して冷淡無関心ではない、若しそれが国防の充実と云う特殊の任務を逸脱して、一般国政に容喙するならば、その過去と現在の生活環境とよりして、決して充分の資格条件を具備するものと云うことは出来ない。軍人は軍人としての特殊の観点に制約されざるをえないのである。
軍人その本務を逸脱して余事に奔走すること、既に好ましくないが、更に憂うべきことは、軍人が政治を左右する結果は、若し一度戦争の危機に立つ時、国民の中には、戦争が果たして必至の運命によるか、或は何らかの為にする結果かと云う疑惑を生ずるであろう。国家の運命が危険に迫れる時に於て、挙国満心の結束を必要とする時に於て、かかる疑惑ほど障碍となるものはない。
五
一千数百名の将兵をして勅命違反の叛軍たらしめんとするに至れるは、果たして誰の責任であろうか。事件は突如として今日現れたのではなくて、由って来れる所遠きに在る。満洲事変以来擡頭し来れるファッシズムに対して、若し〔軍部〕にその人あらば、夙に英断を以て抑止すべきであった。
国軍の本務は国防に在るか奈辺に在るか、政治は国民の総意に依るべきか一部少数の〔暴〕力に依るべきかは、厳として対立する見解にして、その間何等の妥協苟合を許されない。