轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふたりいるとき

二人いるとき

宮本 百合子

「新女苑」1938(昭和13)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,672 字 · 18 页

青空文庫

そして、

「何しろ、現にこういうのがあるんですからね」

自分のメリンス包の下にカヴァをかけてもっている大版の「緋文字」をちらりと見せて小枝子はユーモラスに首をすくめて笑った。

「何だか苦しかった。どっかに今朝の『女の言葉』を見た人がいて、ははん、あれだな、なんて見られているんじゃないかと思って」

「まさか!」笑い声の中から、小枝子が、

「現実に、ひる間つとめて家へかえれば疲れているんですからね」と云った。

「机にきちんと向わなければ読めないんだったら、私たちのようにして暮しているものは結局一冊の本だってよめやしないと云うことになるんです」

顔の内側に明るく燃え立っているものがあるような表情で小枝子はそれを云うのであった。

多喜子たちが卒業した女学校の専門部で文明史を教えていた教師の一人が、イタリーの方へ交換教授のようにして行くことになり、その送別会があった。出席した同級の幾人かは、どちらかというと多喜子のように友達に会いたい方が主で、こっそりこちらのテーブルの端で、

「私戸田先生イタリー語がお出来んなるなんてちっとも知らなかったわ」

「日本語を教えにいらっしゃるんだって。