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にじゅういち
二十一
「現代文学 第六巻第九号」1943(昭和18)年8月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,877 字 · 21 页
そのころ二十一であった。僕は坊主になるつもりで、睡眠は一日に四時間ときめ、十時にねて、午前二時には必ず起きて、ねむたい時は井戸端で水をかぶった。冬でもかぶり、忽ち発熱三十九度、馬鹿らしい話だが、大マジメで、ネジ鉢巻甲斐々々しく、熱にうなり、パーリ語の三帰文というものを唱え、読書に先立って先ず精神統一をはかるという次第である。之は今でも覚えているが、ナモータツサバガバトオ、アリハトオ、サムマーサーブツダサア云々に始まる祈祷文だ。一緒に住んでいた兄貴はボートとラグビーとバスケットボールの選手で鱶の如くに睡る健康児童であったが、之には流石に目を覚して、とうとう祈祷文を半分ぐらい否応なく覚えこむ始末であったが、僕はそういうことを気にかけなかった。兄貴はボートとラグビーとバスケットボールの外には余念がなく、俗事を念頭に置かぬこと青道心の僕以上で、引越すと、その日の晩には床の間の床板に遠慮もなく馬蹄のようなものを打込み、バック台をつくり、朝晩ボートの練習である。床の間の土が落ち地震が始まり、隣家の人が飛びだしても、気にかけたことがない。学校から帰るとラグビーのボールを持って野原へとびだし、縦横無尽に蹴とばす。