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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页
二人とも同じものというのではない。大阪の小ツルは粟おこしだし、早苗は高松で瓦せんべいときまっていた。年ごろで、ますます太る一方の小ツルの目は、全く糸のように細くなっていた。どちらかといえばきつい彼女の性格は、この目でやわらげられ、えへ、と笑うと、こちらもいっしょに声をあげて笑いたくなった。えへ、というとき、あとへドサン(土産)といって土産をおくのが小ツルのくせであった。
あるとき小ツルはいった。
「いつも同じドサンで芸がなさすぎると思うことありますけどね、じぶんの子どものときのことを思うと、このドサンでとびとびするほどうれしかったから」
早苗も同じように瓦せんべいの包みをさし出し、
「阿呆の一つおぼえということがありますからね」
大吉は、ドサンの姉ちゃんとよんで歓迎し、その日は、一日笑いくらして別れるのがおきまりになっていた。それらのドサンも戦争がながびくにつれ、手に入りにくくなったらしく、昨今は商売物らしいガーゼをくれたり、早苗のほうはノートや鉛筆を、まだ学校でもない大吉のためにもってきたりするようになった。ようやく学齢にたっした大吉のためにランドセルを買いにいっての帰り、はからずも出あった教え子に刺激されてか、もろもろの思い出は胸にあふれた。