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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页
そのあわただしさは、戦いの終った今日からまだ明日へもつづいていることを思わせた。戦争はけっして終ったとは思えぬことが多かった。
原爆の残虐さが、そのことばとしての意味だけで伝えられてはいたが、まだほんとうの惨状を知らされていなかったあの年の八月十五日、ラジオの放送を聞くために学校へ召集された国民学校五年生の大吉は、敗戦の責任を小さなじぶんの肩にしょわされでもしたように、しょげかえって、うつむきがちに帰ってきた。
あれからたった半年、今目の前に櫓をこぐ可憐な姿は、深い感慨をそそるものがある。時代に順応する子どもというもの。半年前の彼のことを、いえば今は恥ずかしがる大吉なのを知っている。口には出さず、ひとり思いだすだけである。あの日、しょげている大吉の心を引ったててやるように笑顔で肩をだいてやり、
「なにをしょげてるんだよ。これからこそ子どもは子どもらしく勉強できるんじゃないか。さ、ごはんにしよ」
だが、いつもなら大さわぎの食事を見向きせずに大吉はいったのだ。
「お母さん、戦争、まけたんで。ラジオ聞かなんだん?」
彼は声まで悲壮にくもらしていった。
「聞いたよ。