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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页

青空文庫

もしも、お母さんが笑っていなかったなら、日ごろ、こわいと教えられているゾーリンゲンである。大吉たちは悲鳴をあげたかもしれない。しかしお母さんは笑っていたのだ。泣きはらした顔の笑顔は、ちがった人のように見えたが、なんでもない、なんでもないという目の色は大吉たちを瞬間で安心させた。

「いいもの、八津にこしらえてやろう。こんなこと、お前たち、知らないだろ。八津はとうとう知らずじまいじゃ。かぼちゃはうらなりでも食べるものと、大吉ら、そう思ってるだろう。お母さんらの子どものときは、かぼちゃのうらなりは、子どものおもちゃ。ほら、これが窓――」

かぼちゃの横腹は四角にきりぬかれた。

「こっちは、丸窓といたしましょう。少々むつかしいな。手塩皿もってきて大吉、型をとるから。それとお盆もな。わた出すから」

大吉と並木は目を丸くしてみていた。できたのは提灯だった。窓に紙をはり、底に釘をさすとろうそくの座もできた。配給のろうそくをともすと、いかにもそれは、八津のよろこびそうな提灯であった。悲しみを忘れて大吉はいった。

「お母さん、工作、満点じゃ」

小さな棺ができてくると、提灯は八津の顔のそばに入れてやった。