轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页

青空文庫

それでもう、古いことはきくのはやめた。西口ミサ子の娘は、勝子といった。そのほか三人の女の子のなかに、赤い新らしい洋服をきた川本千里という子どもがいた。がまんできず、休み時間のとき、それとなくきいてみた。

「ちさとさんのお父さん、大工さんね」

すると千里は、松江そっくりの黒い目を見はって、

「ううん、大工さんは、おじいさん」

「あら、そうだったの」

しかし彼女の学籍簿には、彼女の父は大工とあった。

「松江さんて、だあれ、姉さん?」

「ううん、お母さん。大阪におるん。洋服おくってくれたん」

どきんとした。そして、この組に仁太やマスノがいないことにほっとし、またそれで、さびしくもなった。仁太がいれば今ごろはもう、十人の新入生の家庭事情はさらけだされ、めいめいのよび名やあだ名までがわかっているだろう。その仁太や竹一や正は、そして、磯吉や松江や富士子は、と思うと、彼らのときと同様、いちずな信頼をみせて今日新らしい門をくぐってきた十人の一年生の顔が、一本松の下に集まったことのある十二人の子どもの姿にかわった。思わず窓の外を見ると、一本松は、昔のままの姿で立っている。そのそばに、二人の男の子が、じっと岬を見ているかもしれぬ、そんなことも知らぬげな姿である。