轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页
やめた、やめたそんなぐち。先生の前でいうこっちゃないわ。昔にかえって!」
ぽんと松江の肩をたたくと、松江はむきになり、しかし陽気さをくわえていった。
「だから昔話してんのに。なあ先生、わたし、あの弁当箱、戦争中は防空壕にまで入れて守ったんですよ。あの弁当箱だけは、娘にもやりたくないんです。わたしの宝でしたの。今日もお米入れて持ってきたんですよ、先生」
それを聞くと吉次が、あ、そうじゃ、といいながら、国民服の脇ポケットから小さな布袋をとりだし、
「はい、うら(私)の食いぶに」
と、マスノのほうへさしだした。
「ええじゃないかキッチン、おまえ、魚もってきてくれたもん」
どうやら今日の会はもちよりであるらしいと思いながら、大石先生はしきりに松江の話を聞こうとした。松江のいう弁当箱とはいったいなんだろうと思ったからだ。防空壕にまで入れた宝の弁当箱とは。
先生はあの百合の花の弁当箱のことをすっかり忘れていたのだった。
「マッちゃん、弁当箱って、なあに?」
小声できくと、松江はとんきょうな声を出し、
「あら、先生、忘れたんですか。そんならもってくる」
とんとん音立てて階段を走りおりていったと思うと、やがてまたとんとんかけあがってきた松江は、みんなの前に、からの弁当箱を、赤ん坊のするあるまいあるまいでしてみせ、