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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页
まるで、よその村へきたような変りかただった。海べりの家ではどこもみな、屋根がわらをはがされたらしく、屋根の上に人があがっていた。だれひとり先生にあいさつをするゆとりもないらしいなかを、先生もまた、道に打ちあげられた石をよけながら、自転車を押してやっと学校にたどりついた。門をはいってゆくと、どっと一年生が走ってきて、とりまいた。そのどの顔にも、生き生きとした目の光があった。それは、昨夜のあらしのおとずれを、よろこんででもいるように元気なのだ。うわずった声の調子で、口ぐちに話しかけようとするのを、少し出しゃばりの香川マスノが、わたしが報告の役だとでもいうふうに、その声の高さでみんなをおさえ、
「せんせ、ソンキのうち、ぺっちゃんこにつぶれたん。蟹をたたきつけたように」
マスノのうすいくちびるから出たことばにおどろき、だんだん大きく目をみひらいた先生は、顔色さえも少しかえて、
「まあ、ソンキさん、うちの人たち、けがしなかったの?」
見まわすと、ソンキの岡田磯吉は、びっくりしたのがまださめないようなようすで、こっくりをした。
「せんせ、わたしのうちは、井戸のはねつるべの棹がまっ二つに折れて、井戸ばたの水がめがわれたん」