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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页
校長先生もまた、この少しふうがわりの、あまのじゃくみたいな娘を相手にして、おもしろがっているようすで、
「そいつは、まだですがね。なんならもう一度職員会議をひらいて取り消してもよろしい。後藤先生は、がっかりするでしょうがなあ」
お母さんひとりは、気をもみつづけ、はらはらしていた。そのお母さんにむかって、校長先生は、
「大石くんに、似たとこがありますな。一徹居士なところ。なにしろ彼は、小学生でストライキをやったんだから、前代未聞ですよ」
あっはっはと笑った。その話は、まえにも聞いたことがあった。なんでも、小学校四年生の父が、受けもちの先生に誤解されたことをおこって、級友をそそのかして一日ストをやったというのだ。同級生だった校長先生も、同情して、みんなでいっしょに村役場へ押しかけていって、先生をとりかえてくれといったのだという。今年の春、就職をたのみにいったとき、はじめて父の少年時代のことをきいて、母と子はいっしょに笑ったのである。ただ思い出話として笑って語られる父のことが、今の大石先生には、ふしぎと、まじめにひびいた。
校長先生が帰ったあとも、ひとりで考えこんでいる大石先生を、お母さんはいたわるように、