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ごがつのそら

五月の空

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,361 字 · 12 页

青空文庫

一九二二年五月

或午後、机に向って居ると、私の心に、突然、或諧調のある言葉が、感情につれて湧き上った。

丁度、或なおしものの小説を始めようかとして居、巧く運ばないので苦しかったので、うれしく其を書きしるした。

後、折々、そう云う現象が起る。

純粋に云って、詩と云うもののカテゴリーに入るか、如何うか、兎に角私にとっては、斯様な形式で書く唯一のものだ――私の詩と云える。

段々、かたくなく文字が流れ出す快感を覚える。何処まで、形式、内容が発達して行くか、

私にとっては、頭のためにも、感情のためにも、よい余技を見出した。

五月一日

あらゆるものが、さっと芽ぐみ、

何と云う 春だ!

自分の心は、此二十四歳の女の心は

知らない憧憬に満ち、

息つき、きれぎれとなり

しきりに何処へか、飛ぼうとする。

一つ処に落付かず

ああ 木の芽。 陽の光。

苦しい迄に 胸はふくれて来る。

*

心が響に満ち 音律に顫えて来ると

詩の作法は知らぬ自分も、うたをうたいたく思う。

何と表したらよいか 此の心持

どう云うのだろう 斯う云う 優しい 寂しい、あこがれの心は。

小説を書く自分は、辛くなり、