轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ごかいのまど

五階の窓

江戸川 乱歩

01 合作の一(発端)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,189 字 · 21 页

青空文庫

艶子は、引続き取りすました態度で、社長の大机の脇の小さな角テーブルの前に腰を卸し、持って来たメモを拡げると、鉛筆を斜に構えてさしうつむいている。

西村は大して急ぎの用件でもなさそうに文意を口述しながら、出鱈目の曲線を描いて、その辺を歩き廻っていたが、恰度艶子のかけている椅子のうしろまで来ると、ごく自然に立止り、椅子の凭れに両手をかけて、次の文句を考える為か、目を天井にやって、しばらくじっとしていた。その様子は、手紙の文句をねるのではなくして艶子の息遣いを伺っている様にも見えた。

「エーと、右の事情につき、御示しの条件にては、残念ながら貴意に添い難きかと……」

そんなことを、ゆっくりゆっくり喋りながら、目は矢張り天井を見つめたまま、彼の指先だけが、奇妙な昆虫の触角の様に、何物かを求めて動いた。それは、椅子の凭れを離れると、徐々に艶子の娘々した肩先へと辷って行き、遂にその上にフワリと置かれた。

艶子は少しも気づかぬ風で、速記を続けていた。背を曲げて一心に鉛筆を走らせている彼女の横顔は、他意もなく仕事に没頭している様に見えた。

西村の厚顔な指先は、更らに少しずつ少しずつ前進して、肩先から腕の方へと這って行った。