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きょうのしき

京の四季

和辻 哲郎

「新潮」1950(昭和25)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,914 字 · 16 页

青空文庫

長州風呂でかまどは大きかったのであるが、しかしもみじの葉をつめ込んで火をつけると、大変な煙で、爆発するようにたき口へ出て来た。そのわりに火力は強くなかった。山のように積み上げたもみじの葉を根気よくたき口から突き込んで、長い時間をかけて、やっとはいれる程度に湯がわいた。湯はもちろん薪で焚いたのと一向変わりはなかったが、しかしこの努力でできた灰は大したものであった。さらさらとしていて、何となく清浄な感じで、灰としてはまず第一等のものである。

紅葉のなくなったあとの十二月から、新芽の出始める三月末までの間が、京都を取り巻く山々の静止する時期である。新緑から紅葉まで絶えず色の動きを見ていると、この静止が何とも言えず安らかで気持ちがよい。緑葉としては主として松の樹、あとは椎や樫のような常緑樹であるが、それらの落ちついた緑がなかなかいい。落葉樹の白っぽい、骨のような幹や枝が、この常緑と非常によく釣り合っている。色彩という点から言っても、この枯淡な色の釣り合いが最もよいかもしれない。

これは私には非常な驚きであった。東京では冬の間樹木の姿が目に入らなかったのである。