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じんみんせんせんへのいっぽ

人民戦線への一歩

宮本 百合子

「サンデー毎日」1946(昭和21)年2月3日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,003 字 · 10 页

青空文庫

戦時利得税をいずれ払わなくてはならず、しかも、大財閥に対してのように、政府が様々の法式を考案して、とり上げた金をまた元に戻してよこしてくれる当もない。戦時成金ばかりが、昨今、使ってしまえという性質の金銭をちらしているのである。

つい先頃、一月十日までの供出米は、予定の二割ばかりしかないという報道があった。殆ど時を同じくして、農林大臣は、米の専売案を語り、農林省の下級官吏たちは大会をもって、食糧の人民管理を主張した。この対照は、新聞をよんだすべての人々に、深い関心をよびさましたと思う。農林省につとめていれば、食糧関係のあらゆる行政の網が分っていたのは当然であろう。その道の専門家が揃って、人民管理をよしとするからには、疑いもなく農会、営団、その他の機構に、満足されない何かが存在しているからである。どんな長閑なこころも、日本の現実の中で「横流し」という術語を知らないものはなくなっているのである。

新聞などを見ても、食糧の人民管理への関心は高まって来ていて、一般の方向は、そちらに傾いているように見える。つい、二三日前、この気勢に一つの刺戟を与えるような実例があった。