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じんみんせんせんへのいっぽ
人民戦線への一歩
宮本 百合子
「サンデー毎日」1946(昭和21)年2月3日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,003 字 · 10 页
漸く、永年強いられて来た欺瞞に盲従する習慣から脱して、少しずつ、人民の生存は人民の知慧、判断、行動で守り、平和と安定を日常にもたらそうとして動きはじめたところである。経済、政治、文化の全面にわたって人民としての要求を貫徹し、日本の民主化を徹底させるための人民戦線、民主戦線ということが、私たちの現実的で発展性ある方法として、身近いものとなりつつある。人民は、自分の全生活について自分たちで判断・配慮し、分別してゆくことが、とりも直さず民主の政治の実体であることを学びつつあるのである。
この頃の毎日は、そういう意味で、日本の私たちにとって全く歴史的な日々となって来た。それだからこそ、一日一日のうちに起るいくつもの事象について、私たちは極めて注意ぶかくなくてはならない。聰明に現実的に、自分たちの新しき構想の完成に努力しなければならないのである。
こういう心もちからいうと、どうしても、私たちは「板橋事件」強制供出その他一つらなりの食糧問題解決への場面で起った現象をももうすこし細かに観察し、学ぶべきことがあると感じる。
第一、農林省は現に自分の懐の中に、官吏たちの団体行動をはらんでおり、それは食糧の人民管理を叫んでいるのに、本気で、農民に、強制手段で向う心算であろうか。