轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じんせいせいかいいん

人生正会員

佐々木 邦

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1941(昭和16)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,238 字 · 23 页

青空文庫

僕は学生時代に家庭教師として社長邸に住み込んでいたから、人間が分っていた為めだった。社長秘書になったのも成績による抜擢でない。前任者が胸を病んで休職になった時、性の知れた僕が鞄持ちの代役を仰せつかって、そのまゝ今日に及んでいる。それだから、僕の肩書はいつまでも社長秘書心得だ。

「君はいつお玉杓子の尻尾が取れるんだい?」

と親しい同僚が訊いた。何のことだろうと思ったら、社長秘書心得の「心得」が問題になっているのだった。

さて、それよりも社長の方だ。

「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」

と例によって、唱名しながら実務に従事している。

「社長」

「何だい?」

「こういうのが正直正銘の盲判でしょうな。何も御覧にならないで、目を瞑って、お捺しになるんですから」

と僕は冗談を言って見た。

「うむ。南無阿弥陀仏。其方は?」

「これもお願い申上げます」

「南無阿弥陀仏と。これでもう盲判はお仕舞いか?」

と社長は是認していた。普段社長の盲判なぞと言ったら大変だ。呶鳴りつけられる。しかし差当りライオンは弱っていて、吼える元気がない。

四十九日の翌朝だった。

「社長、昨夜はお邪魔申上げました。