轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じんせいろんノート
人生論ノート
三木 清
下記以外「文學界」文藝春秋社、1938(昭和13)年6月~1941(昭和16)年10月<br>個性について「哲學研究 第五十二號 第五卷 第七册」京都哲學會、寶文館、1920(大正9)年7月1日<br>後記「人生論ノート」創元社、1941(昭和16)年8月11日<br>旅について 不詳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,023 字 · 143 页
思想のこの危険な性質は、行動人は理解しているが、思想に従事する者においては却って忘れられている。ただ偉大な思想家のみはそのことを行動人よりも深く知っている。ソクラテスが従容として死に就いたのはそのためであったであろう。
誤解を受けることが思想家のつねの運命のようになっているのは、世の中には彼の思想が一つの仮説であることを理解する者が少いためである。しかしその罪の一半はたいていの場合思想家自身にもあるのであって、彼自身その思想が仮説的なものであることを忘れるのである。それは彼の怠惰に依ることが多い。探求の続いている限り思想の仮説的性質は絶えず顕わである。
折衷主義が思想として無力であるのは、そこでは仮説の純粋さが失われるためである。それは好むと好まないとに拘らず常識に近づく、常識には仮説的なところがない。
仮説という思想は近代科学のもたらした恐らく最大の思想である。近代科学の実証性に対する誤解は、そのなかに含まれる仮説の精神を全く見逃したか、正しく把握しなかったところから生じた。かようにして実証主義は虚無主義に陥らねばならなかった。仮説の精神を知らないならば、実証主義は虚無主義に落ちてゆくのほかない。