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じんぞうにんげんのひみつ
人造人間の秘密
海野 十三
「小学六年生」1940(昭和15)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,664 字 · 38 页
「困った。これは、うまく逃げられそうもなくなったぞ」
私は、乾いて、やけつくような咽喉の痛みを感じながら、ぜいぜい息を切って、雑草に蔽われた間道を走った。走ったというよりは、匐いながら駈けだしたのであった。頼む目標は、イルシ段丘のうえに点っている航空灯台が、只一つの目当てだった。その夜、イルシ段丘の灯火が、ドイツ軍の侵入をむかえて、いつものとおり消灯もされずに点いていたことは、全くふしぎなことでもあった。だが、そのとき私は、こう思った。
「ふん、ドイツ軍のスパイがやった仕事だな。それにちがいない」
私は、それ以上、うたがいもせずに、どんどんと、灯台の灯を目がけて、前進した。足をとられてごろんごろんと転がること数十回、数百回。これでも私は、すぐ跳ねおきて、イルシ航空灯台の灯を目あてに、次の前進をつづけるのだった。
こうして、くるしい前進をつづけ、時間は、はっきり分らないが、約一時間以上かかって、私はようやく、上り坂になった段丘にたどりついたのであった。
砲声や銃声は、ひっきりなしに、鼓膜をうち、脚にひびいてくるが、幸いにも、この段丘附近は、しずまりかえっていた。