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じんぞうにんげんエフし

人造人間エフ氏

海野 十三

「ラヂオ子供のテキスト」日本放送協会出版、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,879 字 · 109 页

青空文庫

マリ子は、不安のため目の前がくらくなった。

「兄さん、兄さん。マリ子よ、マリ子が待っているのよ。兄さん、居たら返事をしてください」

そういってマリ子は、扉をやけに、とんとんとはげしくたたいた。手がいたくなって扉が叩けなくなったとき、マリ子は身体をどしんどしんと扉にぶっつけて、

「兄さん。どうしたの。マリ子よ。早くここへ出てきてくださらない」

と、半分泣きながら叫んだのであった。

そのとき、扉のむこうで、がちゃりと鍵をまわす音がした。そして間もなく、扉がすーっと内にひらいた。その扉のかげから現れた一つの顔※(感嘆符疑問符、1-8-78)

日本語の先生

「兄さん!」

マリ子は、扉のかげから現れいでた顔にむかって、こうよびかけた。

しかしそれは大まちがいであった。正太の顔ではなく、この『人造人間の家』の主人イワノフ博士のあから顔であった。

「あっ――」

マリ子は、びっくりして、二三歩うしろへとびのいた。

「ああ博士。兄はどこにいるのでしょうか。早くここへよんでくださいませんか」

マリ子は、博士を拝むようにして、兄にあわせてくれるようにたのんだ。

「マリ子しゃん。