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ロボットさつがいじけん
人造人間殺害事件
海野 十三
「新青年」博文館、1931(昭和6)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,836 字 · 18 页
「止れ! 止れ!」
自動車の前に立ちふさがった数名の兇漢がある。
「また、出たかな」僕はつぶやいた。夫人はすばやく身を起した。夫人は短銃を握り直したが、僕はなにも持っていなかった。武器を持つのは、いよいよ最後のときに限る。軽率に武器をとり出すことは、できるだけ避けたい。ことに先程から、劉夫人の敏捷なる行動に、ひそかに不審をいだいていた僕は、ことさら自分の武器を秘密の隠し場所からとり出すところを夫人に見られたくなかった。自動車の速力がすこし落ちると、兇漢の一人がとびのって、運転台の窓をひらいて、こっちへ顔を向けた。それは、案に相違して、林田でも、又他の同志でもなく、全く知らない中国人の顔だった。
「夫人にお願いがあります。重傷者ができましたから、この車を鳥渡拝借したい」と中国人は丁寧に、だが圧しつけるような口の利き方をした。
「失礼な! お断りします」夫人は負けてはいなかった。
「どうかお許し下さい、劉夫人、病人は唯今手当をしませんと、手遅れになりますから」
劉夫人と名をさされて、夫人の態度がちょっとかわった。
「お前はだれだい。病人は何処の人だい」夫人が、俄かに伝法な言葉を吐いた。