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じんぞうものがたり

人造物語

海野 十三

「新青年」1931(昭和6)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,674 字 · 17 页

青空文庫

を見たのを覚えている。もう二十年以上も昔のことである。これは舶来の人形で、煙草をふかしたり、帽子をとってお辞儀をしたり、お酒を呑んでみせたりした。

*   *

近代的な人造人間は、こちらから人造人間に喋ると、それに応じて、返事をしたり、または、その命令どおりに行動するのである。これは、人造人間の中に、ラジオで使うのと同じマイクロフォンが備えつけてあり、それを通じて、音声が電流となり、その電流を、ラジオの増幅器と同じもので大きい電流に直し、それを選択器に入れて、人造人間に言われた命令が如何なる意味のものであるかを分析し、それによって、恰度、自動ピアノの孔のあいたロール紙のようなものが沢山並んでいるその一つが働き出す。それには、其後の人造人間の行動のスケジュールがちゃんと記録されて居るから、機械力が適当に働いて、その定められたとおりの歩行や、運搬や、開閉やを行い、又はちょうど、トーキーのフィルムのようなものが働き出して、人造人間の口のあたりからラウドスピーカーを通じて、「ロボットの御返答」として人造人間の声をきくことも出来るのである。

しかし、人造人間への命令や、質問の文句は、非常に簡単で、しかもある特定の文句でないと人造人間は働かないことになっている。