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じんぞうものがたり
人造物語
海野 十三
「新青年」1931(昭和6)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,674 字 · 17 页
例のテレボックスの長兄のごときは、英語で命令しても駄目であって、高音、中音、低音から成る符号のようなものを、こちらから叫んでやると、初めて働くのである。たとえば、高い音を出して、「アー、ア、アー、アー」とか言ってやれば、窓をしめるし、低音で、「アー、ア、アー、アー」というと椅子を後に引いて暴れたりする。それを間違えば、大変な間違いとなる。何しろ力が強いから、窓を開けと注文したつもりでいると、椅子を後に引かれて尻餅をつき、喧嘩にならぬ苦がわらいをすることもある。
* *
其後テレボックスへの喋る音は、文句でもよいことになった。このテレボックスが出来たウェスティングハウス電気会社のイースト・ピッツバーグの研究所の門は、客が来ると自動的に開くような仕掛けになっているが、それには扉の前で“Open, sesame !”(開けごまの実)と叫ぶと自然に開く、しかし間違って「開け、けしの実」などと呶鳴っても駄目らしい。
先年上野の松坂屋の1999年展覧会で出演したロボットは、どんなことを、どんな言葉できいても、即座に返事をした。「オッサン、ゲイ・キャバレロを謳っとくれよ!」