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じんぞうものがたり
人造物語
海野 十三
「新青年」1931(昭和6)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,674 字 · 17 页
を書かれて、人形に恋した男が蔵の中で、人形とホソボソ睦言を囁き、あげくの果は、美しい夫人を残して、その人形と情死するという筋を描かれた。
花屋敷には、普段の入場客と寸分たがわぬ人形が園内に置いてあって、奇怪なエピソードを幾度となく作っている。
独逸のボッヘ誌によって、昨年紹介された独逸の名人形師の家に、ずらりと並べられた身体の真白な女性の人形をみていると、なんだか、妙な興奮と、寒気を覚えたことであった。
* *
さて、今日云うところの人造人間の方は、今のところ、甚だ志操堅固な、いわゆる堅造ばかりで、性的サーヴィスをやって呉れるのは、ないようである。
今日の人造人間をはじめ、多くの人造ものを産んだのは、このところ五十年ばかりの間に、異常な発達をとげた電気工学、物理化学のおかげである。
人造人間は、まず措くとするも、人造絹糸、人造酒、人造染料、人造肥料、人造光線、人造真珠、人造宝石、などと、数えてゆけば、きりがない。これ等の造品は、天然物の模造として代用品の役目をつとめるばかりではなく、天然物より勝れた点を多く持っている。人絹だと最初は、軽蔑せられた人造絹糸も、今日は天然絹糸と肩を並べて工業界に進出し、天然絹糸と人造絹糸とは、製品としての分野がはっきりわかれ、お互に持ちつもたれつの発展をつづけて