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ものをこわすのがしょうばいじけん

什器破壊業事件

海野 十三

「大洋」1939(昭和14)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,352 字 · 31 页

青空文庫

そして蒼い顔をして、眼が血走っていた。その間にも光枝は、この室内を一応隅から隅までぐるっと見廻すことを忘れなかった。

(あっ、あそこだわ!)炯眼なる彼女の小さな眼に映じた一つの異変! それは高い天井の隅にある空気抜きの網格子が、ほんのちょっと曲っていたことである。それに気がついて、大理石の洗面器の傍にかかっているタオルを見ると、これが真黒になってよごれていた。

(たしかにそうだわ。例の重要物件は、旦那様の懐中を出て、あの空気抜きの網格子をあげて、天井裏に隠されたのにちがいない!)

光枝の胸は、またどきどきしてきた。じつに大発見である。

光枝は、じっとしていられない気持になって、ハガキを握ると、ポストのところへいってみた。まさかこの早朝から、そこに帆村が来ているとは思わなかったけれど、家にじっとしていることには耐えられなかったのだ。

「やあ、とうとう突留めたかね」ポストのかげから、帆村がぬっと顔を出して、いきなりそういったものだから、光枝はびっくりした。

光枝の報告は、帆村を躍りあがって悦ばせた。そして二人は、連立ってお屋敷の方へ引返した。その途中、帆村が早口にいった話によると、