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かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页

青空文庫

――頼母の勢力を覆えそうとする、その運動の同志だったので、与四郎へだけは自分の住居を、主税はそっと明かしていたのであった。

聞かされたお葉は躍り上って、すぐに馬込の方へ足を向け、こうして今ここへやって来たのであった。

(この家らしい)とお葉は思った。

(考えていたって仕方がない。案内を乞おう、声をかけてみよう。……いいえそれより藤八を舞わして、座敷の中へ入れてみよう)

お葉は肩から藤八猿を下ろした。

藤八猿は二つ目の淀屋の独楽を、大切そうに手に持ったまま、地面へヒラリと飛び下りた。

藤八猿はこの独楽を手に入れて以来、玩具のようにひどく気に入っていると見え、容易に手放そうとはしないのである。

「今日の最後の芸当だよ、器用に飛び込んで行って舞ってごらん」

人間にでも云い聞かせるように云って、お葉は土間へ入って行った。

蝋燭の燈の下で

「お猿廻しましょう」と声がかかり、赤いちゃんちゃんこを着た藤八猿が、奥の部屋へ毬のように飛び込んで来たので主税とあやめとははっとした。

「まあ藤八だよ!」と叫んだのは、襟を掻き合わせたあやめであり、

「独楽を持っている、淀屋の独楽を!」