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かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页

青空文庫

第三の犠牲

主税があやめを訪ねて来たのは、何と思って自分へ独楽をくれたのか? どうして猿廻しなどに身をやつしていたのか? その事情を訊こうと思ったからであった。

昼の中に来るのが至当なのであったが、昼の中彼は屋敷へ籠って――お館へは病気を云い立てて休み――例の独楽を廻しに廻し、現われて来る文字を寄せ集め、秘密を知るべく努力した。

しかし、結果は徒労だった。

というのは、その後に現われて来た文字は「に有りて」という四つの文字と「飛加藤の亜流」という訳のわからない、六つの文字に過ぎなかったからで……

そこで彼は夕方駕籠を飛ばせて、ここへ訪ねて来たのであった。そうしてあやめに逢いたいと言った。

すると勘兵衛という男が出て来て、極めて曖昧な言葉と態度で、あやめは居ないというのである。

「少し尋ねたい仔細があってな」

主税はこっちでも曖昧味を現わし、

「それで訪ねて参ったのだが、居ないとあっては止むを得ぬの。どれ、それでは帰るとしようか」

「ま、旦那様ちょっとお待ちなすって」

勘兵衛の方が周章て止めた。

「実は彼女がいなくなったのであっしはすっかり参っていますので。