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かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页

青空文庫

と女猿廻しは力を籠めて云った。

それでお八重は女猿廻しのお葉が、何かの理由で松浦頼母に、深い怨みを抱いていることを、いち早く見て取ったが、しかしお葉がどういう理由から、松浦頼母に怨みを抱くかを、押して訊こうとはしなかった。

二つ目の独楽

とにかくこうして二人の女は、それ以来一味となり、お八重から渡す隠語を手蔓に、時と場所とを示し合わせ、お八重の盗み出す田安家の器物を、女猿廻しのお葉は受け取り、秘密の場所へ人知れず隠し、今日に及んで来たのであった。

(隠語の紙片が頼母様の手へ入った! ではお葉も頼母様のお手に、引っとらえられたのではあるまいか?)

これがお八重の現在の不安であった。

(いやいや決してそんなことはない!)

お八重はやがて打ち消した。

(でも隠語を認めた紙片が、頼母様のお手へ入った以上、それを封じ込めてやったあの独楽が、頼母様のお手へ入ったことは、確かなことといわなければならない!)

これを思うとお八重の胸は、無念と口惜しさに煮えるのであった。

(淀屋の独楽を奪い取れ! これがあの方のご命令だった。……淀屋の独楽を奪い取ろうとして、妾は二年間このお屋敷で、腰元奉公をしていたのだ。