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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
「お八重!」と思わず声を筒抜かせ、主税は猛然と飛び立とうとした。
「動くな!」と瞬間、覆面武士の一人が、主税の肩を抑えつけた。
「お八重、どうして、どうしてここへは※(感嘆符疑問符、1-8-78) おおそうしてその有様は※(感嘆符疑問符、1-8-78)」
お八重は顔をわずかに上げた。起きられないほど弱っているらしい。こっちの部屋から襖の間を通して、射し込んで行く幽かな燈の光に、蛾のように白いお八重の顔が、鬢を顫わせているのが見えた。猿轡をはめられている口であった。物云うことは出来なかった。
「お八重さんばっかりに眼をとられて、あっしを見ねえとは阿漕ですねえ」
胡座から立て膝に直ったかと思うと、こう勘兵衛が冷嘲すように云った。
「見忘れたんでもござんすまいに」
「わりゃア勘兵衛!」と主税は叫んだ。
「死んだはずの勘兵衛が!」
「いかにも殺されたはずの勘兵衛で、へへへ!」と白い歯を見せ、
「あの時あっしア確かにみっしり、締め殺されたようでござんすねえ。……殺そうとした奴ア解っていまさア。‥…あやめの阿魔に相違ねえんで。……あの阿魔以前からあっしの命を、取ろう取ろうとしていたんですからねえ。