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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
するとどうじゃ、八重めの文字が、隠語の文字と同じではないか。そこで八重めを窮命したところ、盗人に相違ござりませぬと、素直に白状いたしおったわ」
「嘘だ!」と悲痛の主税の声が、腹の底から絞るように出た。
「八重が、八重殿が、盗人などと! 嘘だ! 信じぬ! 嘘だ嘘だ!」
しかし見る見る主税の顔から、血の気が消えて鉛色となった。
(もしや!)という疑惑からのことであろう。
そうして彼の眼――主税の眼は、頼母から離れて隣の部屋の、お八重の方へ移って行った。
「あッはッはッ、そう思うであろう。……恋女の八重が館の盗人! これは信じたくはあるまいよ。……が、事実は事実なのでのう、信じまいとしても駄目なのじゃ。……念のため八重自身の口から、盗人の事実を語らせてやろう」
勘兵衛の方へ顔を向けると、
「その猿轡はずしてやれ」と頼母は冷然とした声で云った。
つと勘兵衛の手が伸びた時には、お八重の口は自由になっていた。
「八重殿!」と、それを見るや山岸主税は、ジリジリとそっちへ膝を進め、
「よもや、八重殿! 八重殿が※(感嘆符疑問符、1-8-78)」
「山岸様!」とお八重は叫んだ。倒れていた体を起き返らせ、主税の方へ胸を差し出し、髪のふりかかった蒼白の顔を、苦痛に歪めて主税の方へ向け、歯ぎしるような声でお八重は叫んだ。